フレキシブルチューブの弱点について、其の壱

フレキシブルチューブは便利だが万能ではない

<博士>
オッホン。フレキシブルチューブは金属なのに自由に曲がる、樹脂チューブより強くてしなやか。
アームのように支えることもできる。まさに万能のようにみえる。
じゃが実態はそうではない。フレキシブルチューブには多くの弱点があり、とてもデリケートな品物なのだ。使い方を間違うとすぐに壊れてしまう。
きょうは、そんなフレキシブルチューブの弱点について、2回に分けて解説していこう。

フレキという螺旋管(ラセンカン)の一番の弱点は、ひねりと捩じり

これまでの回で見てきたように、フレキシブルチューブは螺旋管とも言われています。つまり金属を嚙合わせながらクルクル巻いていって出来た管なのです。
左回転(反時計回り)に巻いていくのが一般的ですが、そうして巻いていった製品を例えば左回転(時計回り)にひねると、巻き付いたものが緩んできます。そしてかみ合っていた部分が弱くなってきて、少し曲げたり引っ張っただけで噛み合わせが外れて壊れてしまうことがあります。
これは、マイク用のフレキでよくあることですが、マイクのように曲げた状態で左右に振ると噛み合わせ部分が緩んだり絞られたりして、一番負荷のかかる根元部品との接合部分の保持力が弱くなったり、バネのように反発したり、ある時は部品から外れてしまったりします。
私たちは「激しく左右に振らないでください」としていますが、そんな声も使用者には届かず、フレキが破損する最も典型的なパターンになっています。

フレキを最小曲げ半径以下に小さく曲げるとどうなるか

フレキシブルチューブを一番小さく丸めた時にできるカーブの大きさを最小曲げ半径と言い「R」で表します。フレキには太さがありますので、フレキの内側で計測する場合とフレキの中心で計測する場合、外側で計測する場合があります。メーカーによって計測方法が違うため、正確に判断する場合は、計測方法をメーカーに確認したほうが良いかと思います。
さて、例えば手でフレキを小さく曲げていくとある時点でいったん止まります。これがいわゆるフレキの最小曲げ状態です。しかしさらに力を入れて曲げていくと、さらに小さく曲がっていきます。樹脂チューブのようにいきなり折れて凹んだりしないのでわかりにくいのですが、これは噛み合わせの形状が変化しているためであり、今度は元に戻らなくなってしまいます。
これも、マイク用のフレキの場合わかりにくく、最小曲げ半径よりも小さく曲げてしまうことが多いです。マイク用のフレキは以前に解説しましたように、丸い線のスプリングの間に三角の線を食い込ませる形でできていますが、必要以上に小さく曲げるとこの食い込みが抜け気味になってしまうことになります。
すると摩擦力のバランスが崩れ、丸線のスプリングの力のほうが強くなり、スプリングバックという反発してしまうフレキになってしまいます。一度スプリングバック状態になったフレキは、残念ながら修正することはできません。
ぜひ丁寧に扱っていただきたいのですが、どうしても話がエキサイトしたりして、マイクを口元にぐっと引っ張ってしまうことがありますよね、そうすると壊れてしまいますのでなるべくなら感情的にならないで頂きたいと願っております。

引張り荷重試験で見えてくるもの

フレキシブルチューブの耐久性を判断する指標として引張り強度があります。
特にケーブルやファイバーなどの配線を保護するためのフレキシブルチューブは、ひっかけたり落ちたりするテンションがかかっても中の配線が守られることが重要です。そのために引張り荷重試験を行い、破壊までの伸び量に対する荷重の変化をグラフで表して性能を評価しています。
フレキシブルチューブの場合、破壊までの途中である一定の伸び量になると荷重が落ちてきます。
そして最後に破壊する(噛み合わせが外れる)ということになります。
これも前項で解説したように、噛み合わせの形状が変化しているという状態で、元には戻りません
破壊する前にこの時点で壊れ始めている、ということになります。
機器を設計する場合、フレキでどのくらいの荷重まで耐えるようにするか、その場合のフレキの伸びは何mmか、ということを算出して、中を通すケーブルにそれ以上の長さ的余裕を持たす、ということが肝要になります。

過剰な期待は禁物

<博士>
フレキシブルチューブは、それ自体にいろいろな機能が備わっており、安価で便利なものじゃが、とてもデリケートで壊れやすいものなのだ。そこは是非とも理解していただきたいところじゃ。

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