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配管用フレキとして使われるパイプ螺旋管いろいろ

流体が中を流れるパイプ螺旋管

<フレキシブル博士↗>

金属パイプがジャバラになったもの、ひと言でいうとこれがパイプ螺旋管じゃ。
ジャバラになったことで、パイプなのに曲がるようになる。

フレキ管、フレキ配管、フレキパイプ、フレキシブルパイプ、ベローズ管、などと呼び方もいろいろじゃ。

テープ螺旋管(テープ状の板材を巻いて作る螺旋管)との最大の違いは、
中に流体を通すということである。

実に使い勝手の良いパイプだが、フレキシブルに曲がるようになって
便利になった代わりに弱点もある。

耐圧性、耐屈曲性等々。
これらの弱点を克服するために、様々な工夫を凝らし、進化し続けているのじゃ。

ここでは、パイプ螺旋管の基本の基本について説明していこう。

 

流体とは、液体だけではない。

まず解説するうえで、パイプ螺旋管という言い方はあまり一般的ではないので、
以降はフレキシブルパイプと言います。

このフレキシブルパイプの特長として、
先ほども流体を通すと言いましたが流体にもいろいろあります。

水、お湯、油、薬品、食品など、また液体だけではなく、
ガスや蒸気といった気体、粉やペレットのような固体も通ることがあります。

通すには、ポンプなどで圧力をかけて送り出しますので耐圧性能が必要になることがほとんどです。
中にはただ排出するだけの目的で、ほとんど圧力のかからない使われ方もありますが、
まれな使い方です。

フレキシブルパイプがどのような場面で使用されているか

フレキシブルパイプは、配管のあらゆる箇所に使用されています。

例えば一般住宅であれば、給湯器周辺の水の配管やガス管の保護管として。
発電所や重工業であれば、燃料や潤滑油の配管、高圧蒸気の移送や排気管として。
化学工場では、薬品や純水の移送用として。

いずれも直管のパイプでは配管できないような曲がっている箇所や
障害物をよけるような箇所、あるいは仮設の際に使用されたりします。

また、機械や設備が動く(稼働する)ような場合の配管として、
さらには、消防ホースやタンクローリーのホースのように、
金属製のホースとしても使われています。

地震や地殻変動、工場や交通の振動から設備を守る役割としても
フレキシブルパイプは使用されています。

自動車のマフラーのように、振動吸収の目的で車に搭載されているものもあります。

ヒートポンプなどの熱交換用のコルゲートパイプとしても、フレキシブルパイプは使用されています。

このように産業のあらゆる場面でフレキシブルパイプは活用されています。
これらの具体的な事例は、後日ひとつひとつ紹介していきたいと思います。

 

フレキシブルパイプの材質、そして形状

金属パイプをジャバラにしたものと言っても、その使用用途や条件によって様々な種類があります。

高圧蒸気を通すのか、薬品を流すのか、振動を吸収する目的で使うのかなどによって、
その材質や製法、外装などが異なります。

まず材質は、ステンレス(SUS304、316、316L)が多いです。

耐腐食性としてチタンを添加したSUS316Ti、SUS321製のものも一部出ています。
その他の材質、鉄製のものは今はもうほとんど見なくなりました。

アルミ、銅、真ちゅう製のものは一般的ではありませんが、
熱交換用のコルゲート管としては使用されています。

ジャバラの形状は凹凸が螺旋状に連続しているスパイラルタイプと、
凹凸が単独で連続していないワンピッチタイプがあります。

ワンピッチタイプの中でも凹凸の形状が半円に近い
なだらかさをもっているのがベローズタイプ、あるいはアニュラータイプと呼ばれています。

一方で、凹凸がさらに深く丸みを持っているものはオメガタイプと呼ばれています。

スパイラルタイプは、螺旋構造のため液溜まりが起きにくい特性があります。
また長尺対応が可能です。スパイラルタイプの製法はロール成形の金型を
回転させることによって、連続的な螺旋状の溝を作っていきます。

ベローズ(アニュラー)タイプは、
山が独立しているため柔軟性があり、振動吸収に優れています。
ベローズタイプの製法はバルジ成形によって膨らませることで山を作っていきます。

オメガタイプは、
ベローズよりもさらに柔軟性に富んでいるという特徴があり、振動に強いです。

そしてフレキパイプはその口径も、10mm以下の小口径から、
大きいものは原発向けの伸縮管で直径10mというものまで作られています。

フレキシブルパイプの耐圧性能、耐屈曲性能を高めるために

これらの配管用フレキシブルパイプは、工場や輸送機器、屋外のインフラに使用されるなど、
非常に過酷な環境で使用されることが多く、また流体も高温で高圧であるなど、
その場面場面によって耐久性と柔軟性が求められています。

一般的には,耐圧を高めるためにステンレス鋼線による編組(ブレード)を外装します。
さらに高圧の場合はこの編組を2回行います(2重ブレード)。

また、耐圧性能と柔軟性や振動吸収性能を両立させるためにベローズを2層にしたものや、
2層の内側のみSUS316Lを使用して耐食性を高めたものもあります。

また薬品を通すために内面をテフロンにすることもできます。

作業者が触れても火傷しないよう断熱性を持たせるために、
ステンレスブレードの外側にガラスファーバーによるブレードを施す場合もあります。

同じようなベローズでも、ピッチを細かくしたり山の高さを高くするなど、
メーカーによってさまざまな工夫がなされています。

 

とても重要なパーツであることに間違いない

配管用フレキシブルパイプは、産業のあらゆる場所で古くから利用されています。
そして配管の中でも非常に脆弱な箇所であることから、
配管のキーパーツと言っても過言ではありません。

しっかりした品質のものを正しく使用しないと
火災や環境汚染などの大事故につながりかねません。

フレキシブルの利便性と安全性の双方を向上させるべく
各メーカーでは研究開発を進め、年々進化しています。

<博士>
このフレキパイプは、継手の形状や接続方法も様々である。
溶接技術も重要なポイントなのじゃ。

そのあたりはまた、別の機会に解説していくこととしよう。