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フレキシブルチューブの弱点について、其の弐

フレキシブルチューブの機能の限界

<フレキシブル博士↑>

金属製のフレキシブルチューブには、堅牢であり柔軟性もありといろいろな機能があるが、
いずれもそれらの機能には限界があるのだ。

きょうは前回に続いて、フレキシブルチューブの弱点や機能の限界、
また、それを克服する手立てについてみていこう。

金属製フレキシブルチューブに耐圧性は無い?

では、フレキの耐圧性はどうなのでしょうか。

以前話しましたように、フレキ(螺旋管)にはテープ螺旋管とパイプ螺旋管があります。

パイプ螺旋管は、金属パイプをジャバラ上にしたものなので、ある程度気密性があります。
それに対して、テープ螺旋管はテープ状の板材を巻いているだけなので、気密性はありません。

近年、キッチンや洗面台の蛇口が引き出し式になっていて、金属のフレキが付いていますが、
この中にはホースが入っています。(これはインナーホース入りフレキと呼ばれています)

インナーホース無しで直接水を流すことはできません。

但し、瞬間湯沸かし器や一部浄水器に使われている
インターロック型フレキフレキシブルチューブは、直接水やお湯を通しています。

これは、フレキの噛み合わせ部分に綿糸を入れることで綿糸が膨潤して簡易止水させています。
綿糸パッキン入りフレキと呼ばれています。

但し、非常に低い圧力(おおむね0.02Mpa)しか止水できないので
基本的にはノズル口のように開放された状態でしか使用できません。

金属フレキを使ってエアーや流体を流したい場合には、

①インナーホース入りフレキを使用する
②ノズル口として使用するならインターロック型の綿糸パッキン入りフレキを使用する
③パイプからジャバラにする、パイプ螺旋管を使用する。

という3つの中から選択するということになります。

フレキの繰り返し曲げには限界があるのか

金属製のフレキシブルチューブは螺旋管なので、何回曲げてもパイプのように潰れたり、
ひびが入ったりしない、と思われています。

確かにパイプに比べ、はるかに繰り返し曲げ強度は強いです。

しかし、やはり金属であるため、何回も繰り返して曲げ伸ばしをしていると
噛み合わせ部分が曲がって外れたり、接触部分が熱をもって変化したり切れたりすることがあります。

特に摩擦力で形状保持させているタイプのフレキは、
何回も曲げていると摩擦力が弱くなり、
保持できなくなって柔らかくなったり、逆にバネのように反発したりします。

破壊するまでの具体的な繰り返し回数は、製品や条件によって変わってきます。お問い合わせください。

端末部品(コネクター)との接合部分が最も壊れやすい

これまで述べてきたフレキの弱点が最も顕著に表れるのは、
端末部品(コネクター)との接合箇所になります。

コネクターとの接合方法は、接着、プレス、ハンダ、ねじ止めなど様々ありますが、
いずれもその先からフレキシブルに動くようになるわけで、
固定と稼働の境目に最も負荷がかかります。

例えばフレキの巻き方法と同じ方向にねじられていくと、
フレキの外径が細くなっていき、接着やプレスをした部分から抜けてしまうこともあります。
逆回転の場合も同じくこの箇所から外れていきます。

曲げる場合も同様です。
実際の使用場面では、フレキ全体がきれいなR形状で曲がることはありません。
コネクターとの接合部が引っ張られながら小さく曲げられるというのが、実際の状況です。

では、このような状況をどうすればよいのでしょうか?

フレキシブルチューブの弱点を克服するために

これらの動き、動かされ方に対して、
取扱説明書で「ねじらないでください」「無理に引っ張らないでください」と注意書きをしても、
使う人は全く気にしないと思います。

また、「フレキは消耗品です」というのも私たちとしては本意ではありません。

そこで、これらの弱点を克服していく対策として、
コネクターにひと工夫加えることがあります。

ねじりに対しては、その負荷を逃がすために
コネクター自身に回転する機能を持たせるということです。回転式コネクターと呼ぶこともあります。

ただし回転式コネクターには注意事項もあります。
フリーで何周も回ってしまうと、今度は中の接続ケーブルが破損しますので、
ある程度180度で止まるなどの制限は必要になります。

曲げや引張りに対しては、コネクターとの接合部分にスプリングをはめることがあります。
スプリングも密着スプリングではなく、半分密着で半分隙間があるものを使うなど、
つまりコネクターから徐々にフレキシブルにすることで
負荷が一点に集中するのを防止することができます。

フレキとコネクターの進化に期待

コネクターに機能を持たせるにはそれなりのコストがかかります。
また、完全に弱点を克服できるわけではありません。

コスト対効果の分析が必要になってきます。

また、改善の余地が大いにあるところでもありますので、
フレキやコネクターの進化は今後のビジネスチャンスでもあるわけです。

<フレキシブル博士>
フレキが消耗品じゃったら、わしは悲しいぞ~