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フレキシブルチューブの表面処理にはどのような種類があるの?

塗装、メッキなどフレキチューブへの様々な表面処理

<フレキシブル博士↑>

マイクロホンもそうだが、照明器具についてもメッキや塗装などの表面処理は気を使うところである。
ましてフレキシブルチューブの部分は、どんなことができるのか、
どんな仕上がりになるのか不安になる設計者も少なくないじゃろう。

今回は照明スタンドに使用するフレキシブルチューブの表面処理の種類について見ていこう。
よろしいかな?

ライトスタンド用のフレキは材質によって酸化が進んでしまう
照明やマイクロホンのスタンドに使われるフレキシブルチューブは、
以前解説もしましたが、丸い線の材料と三角の線の材料の組み合わせでできています。

その材質は鉄(鋼線)、真鍮、ステンレスなどがありますが、
特に鉄の場合はメッキや塗装などの表面処理をしないと酸化が進み、サビが発生してきます。

また真鍮やステンレスであってもそのままでは変色して見栄えが悪くなりますので、
何らかの表面処理をしていくことになります。

表面処理は、ほとんどの場合、他のパーツと同じ色調の同じ処理方法になりますが、
フレキ部分は稼働する(曲げ伸ばしの動きがある)、つまり
出たり隠れたりする部分があること、またその部分が擦れるという条件があります。

従いまして、これをきれいに処理するのがとても難しく
このノウハウを持っている塗装会社、メッキ会社は限られています。

では、どのような種類の表面処理があるのか、まずはメッキから見ていきましょう。

フレキチューブへの一般的なメッキ処理であるニッケルメッキ、クロームメッキ

メッキ処理として、最も一般的なものはニッケルメッキとクロームメッキです。

外見上ニッケルメッキはクロームメッキに比べ、やや黄色みを帯びています。
クロームメッキはシルバーで光沢があり水栓金具等に使われています。

しかしクロームメッキは割れやすいため、
メッキ後にフレキチューブと取り付ける場合にはプレス(カシメ)ではなく、
接着による取付けをお勧めします。

無電解ニッケルメッキを施すこともありますが、
これはあくまでもクロームメッキや、塗装の下地として使用されており、
無電解ニッケルメッキのみで製品にすることはありません。

照明器具に高級感を持たせる梨地メッキ

ニッケルメッキやクロームメッキは、先述のように光沢があり、ピカピカしています。
この表面を荒らして光沢を無くし、マットな感じにしたものが梨地メッキと呼ばれています。

梨地にするには、ショットブラストという加工をメッキの前処理として行います。
ショットブラストとは、鉄やアルミナの細かい粒子を吹き付けて表面を荒らす加工のことです。

フレキ部分にも吹き付けますので、基本的にはフレキと端末金具を
ハンダで取り付けてからの処理となります。

もちろんフレキと金具を別々に梨地メッキ掛けることもできますが、その場合は接着取付になります。

ショットブラスト後に、ニッケルメッキしたものをニッケル梨地メッキといい、
クロームメッキしたものをクローム梨地メッキと言います。

(写真左がクローム梨地、右がニッケル梨地メッキ)

どちらもつや消しの高級感がでます。

フレキアームを黒色にしたい場合は静電塗装

フレキシブルチューブやフレキアームを黒色にすることも多いです。

メッキで黒色にするには、黒クロームメッキがありますがムラや傷ができやすく、
高度な技術が必要になることから、
フレキへの黒クロームに対応するメッキ会社は限られており、価格も高くなっています。

黒色にする場合の主流は、静電塗装処理になります。
これはメッキではなく塗装ですが黒クロームメッキと同等の仕上がりになり、
つや有り、半つや、つや消しといったことができます。

塗装の場合、色は塗料によって決まるので、塗料があれば基本はどんな色でも塗布できます。
木目調にすることも可能、と言われています。


フレキチューブにカラーメタリックなら真空蒸着

上の写真のように、メタリック調のピンクにすることもできます。

これは、真空蒸着です。もちろんブルーやグリーン、ゴールドなど対応しています。

装飾品とまではいきませんが、ちょっとしたおしゃれグッズとしても、
目を引くものになるのではないかと思います。


白色にするなら熱収縮チューブ

静電塗装処理でも、白色のように薄い色はフレキに塗装すると、
内側の金属が透けて見えてしまうことが多いです。

また、逆に厚く塗るとフレキの谷の部分(動く部分)に塗料が留まり、
曲げた際に塗料が割れてヒビが入る可能性があります。

白の場合、熱収縮チューブが良く使われます。乾燥機もしくはドライヤーで収縮させます。
白の収縮チューブにもつや有、ツヤ消しがあります。


ジャバラカバーも使いようによっては

ナイロンやポリプロピレンのような樹脂を使って、ジャバラカバーを使用することもあります。

主にライトスタンドや重量物を乗せるアームに使われることが多いです。

写真のように専用に設計すると型が必要になってきます。
そうでない市販のジャバラホースを利用する場合も多いです。

ジャバラはその隙間にゴミが付着しやすいという難点があります。

また、中のフレキがそのままで良いかというとそうではなく、
やはりメッキなどの表面処理はする必要があります。


フレキチューブへの表面処理は難しい

先ほども述べましたように、フレキへのメッキや塗装は難しいです。

スキマの奥のほうまで、均一に処理されることが必要になります。
細長いため先端のほうが薄く、根元のほうが厚くなりがちです。

メッキ会社や塗装会社は、各社それぞれノウハウを持っており、熟練の技で均一に仕上げています。

そのため、大手の照明器具メーカーが会議場や放送局、高級シートの読書灯などに提供しているものは、
曲げ伸ばししてもその美しさは変わりません。

一方ですぐに剥がれてしまったり、均一にメッキされていないようなライトスタンドも見受けられます。
フレキの良否を見極めるポイントになっていると思います。